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更新日 2023-02-02 | 作成日 2021-01-13

1月の特集

経営理念について

稲盛和夫に学ぶ

  •  企業存続、発展のためには、製品、設備、技術力、資金力といった、いわゆる「目に見える資源」が重要です。しかし、「目に見えない資源」もあります。何故かと言うと、結局、最終的に人が物事をするので、別の要素、情熱、考え方、能力とか言うものが物を言います。即ち、例えば技量が同じスポーツマンの場合、強く勝ちに執着している方が最後には勝者になる確率が高くなります。これと同じ事が経営についても言えます。稲盛和夫氏曰く、人生で成功する方程式として「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」と言っています。「熱意」は物事を成そうとする情熱や努力する心を表し、「能力」は才能・知能・健康を表します。最後に「考え方」です。前向きに物を考えるか、消極的になるか、この辺の兼ね合いで最後のpushに違いが出てきます。言わば、この3つの入り組み具合で、結果が随分と違ってきます。この3つを土台にして具現化すべき「コスト意識」や「経営感覚」「現場主義」「顧客志向」があって初めて企業は強くなる事ができます。

  •  ここで、経営理念についてですが、要はこうしたい、あーしたいと決めて、これを1つの心棒にすると、現場では実際に迷った時にこれが支えとなり、軌道修正ができるというものです。現場の人にとっては具体的に「判断の尺度」となり「行動の原理原則」にもなったりします。正に、目に見えないですが、かなり企業経営にとって重要なものとなります。



インボイスと電子取引への対応について

  • 令和5年10月に向けて、今からやるべき事として、以下の3つが挙げられます

イ.適格請求書発行事業者の登録申請
ロ.自社発行の請求書等のインボイス対応
ハ.取引先からのインボイスへの対応

イ.について
登録申請は令和5年3月31日までですが、令和5年度の税制改正で理由付けなしで令和5年3月31日以降も可で9月30日までとなりました。

〔注〕免税事業者が「適格請求書発行事業者」として登録しますと、課税売上高が1,000万以下になっても納税をしなければならなくなっていますので、慎重なる対応が求められます。

ロ.について
どの書類を「インボイス」とするか決めておきます。また、取引金額の表示方法もどんな形にするか決め、そして取引先にはどの書類が「インボイス」となったか伝えておいた方が良いです。最後に保存方法もしっかりと決めてください。

ハ.について
正に、仮払消費税が算出されるかどうかの重要な事柄です。即ち、まず相手が課税事業者かどうかの確認をし、次にどの書類が「インボイス」となるか、それと事前に様式の確認とかが必要となります。何しろ、6つの事項が記入されていなければならないので、不足分は直ちに是正の依頼をする必要があります。そして、仕訳の起こし方とかタイミングも決めなければなりません。最後に保存方法です。いずれにせよ、事前にやる事がかなりあります。

  •  電子取引の電子保存の完全対応について次の事を決めました。令和4年1月1日施行の改正電子帳簿保存法は、要するに「電子取引は電子にての保存」と義務付けました。但し、令和5年12月31日まで猶予期間がありますが、令和6年1月1日から再スタートとなります。電子取引とは、取引先から電子メールにての請求書も該当します。大手ショッピングサイトから消耗品の領収書をダウンロードしてもこれも電子取引になります。令和6年1月1日からは電子取引は電子保存をしなさいとなり、そうでない場合(紙にての保存)は法人税法上や所得税法上の証拠書類として見なくなります。重大事項です。


  • 電子取引の洗い出し

上記の如くかなり厳しい扱いになります。では、改めて電子取引とはどんなものでしょうか

<以下に表現します>

  • 電子メールでの請求書や領収書の送受信
  • ショッピングサイトでの物品購入
  • インターネットでの公共料金の請求内容の確認
  • 電子決済サービスの利用
  • 従業員がネットで購入した旅費(航空券等)の立替払い
  • 電子請求書や電子領収書の受領
  • 取引情報の複合機での電磁的受領  等々

  • 電子取引データの保存要件について

以下の如くで専用のソフトを利用するのも一案です。

  • やりとりが実在していること(真実性)
  • 必要な期間保存されていること(保存期間)
  • 保存後も探しやすいこと(検索性)
  • 見やすいこと(可視性)


この4つがクリアされてなければなりません。


補助金の話し

個別列挙するに、6つの補助金等があります。

1.事業再構築補助金
申請期間  令和5年1月13日
危機に強い事業への再構築の取り込みを行う場合の補助金。

2.IT導入補助金(デジタル化基盤導入枠)
申請期間  令和5年1月19日(予定)
インボイス制度対応のデジタル化に役立つ会計ソフトやパソコン購入費用の一部を補助する。

3.IT導入補助金(セキュリティ対策推進枠)
申請期間  令和5年2月16日
独立行政法人情報処理推進機構が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービス利用料の1/2補助とする。

4.小規模事業者持続化補助金
申請期間  令和5年2月下旬(予定)
中小企業者が経営計画を作成して取り組む販路開拓や生産性の向上に必要となる費用の一部を支援する。通常枠50万円、インボイス枠100万円、賃金引上げ枠・卒業枠・創業枠・後援者支援枠200万円で、補助金率はその2/3。

5.業務改善助成金
申請期間  令和5年1月31日
事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が30万円以内で、かつ従業員数が100人以下の事業所で

① 賃金引上げ計画を策定する
② 引き上げ後の賃金を実際に支払う
③ 生産性向上に資する機器・設備やコンサルティングの導入、人材育成・教育訓練を実施し費用を払う
④ 解雇、賃金引き下げをしない事、を条件にして設備投資にかかる費用を助成する。

6.雇用調整助成金
令和4年12月から令和5年3月までの助成内容で、コロナ禍での特例が終了するが、厳しい業績下の事業主には一定の経過措置がある。

  • 本年に向けて

昨年のウクライナ戦争開始により、物価高に悩まされ、コロナ禍も未だ終焉せず、混沌とした状態で年が明けました。経済にとってはマイナス要因のみが満ち溢れており、特に中小企業者にとっては困難な時代となっております。しかし、物は考えようでこのような状況下であるが故、否このような状況だからこそ、

ある意味、物事がはっきりしてきたが故に、それこそ何が足りない、何が不足している、何が必要と、よりクリアになったわけですので、そこに焦点を合わせてビジネスをしていく事が肝要であろうと思います。

少子高齢化は益々顕著になり、一昔前は正月ですと通りに子供たちがベーゴマ、メンコ、竹馬、羽子板と正月の風物詩が眼前に広がっていたものですが、今はそれもなし。見渡せば、高齢者の散歩集団が闊歩している状況に様変わりしました。でも、事業者としてこの光景をみると、また違ったものに見えます。

いわゆる、シルバー産業の花盛りの素地が一杯あると言う事です。しかも、ディテールに対応していけば、種々ビジネスチャンスはあると確信しています。要は、世の役立つ事は何かと見据えていく事が大事と思います。そして、世の中に役立つ事は何かをきちんと把握する事に尽きると思います。新しい年を迎え、心の持ちようが大事だと痛感しています。